2020/07/12
石狩から東川町に行く途中、美唄に立ち寄った。『安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄』に行きたかったのだ。安田侃氏の彫刻は直島のベネッセハウスに泊まったときにミュージアムにおいてあったのを見たことがある。見ただけでなく、触ったし、腰掛けもした。『天秘 tenpi』という作品であった。なんともいえないなめらかな曲線、石のひんやりとした温度を覚えている。
『アルテピアッツァ美唄』はかつて石炭で栄えた町、美唄の(旧)栄小学校廃校跡に作られた美術館である。安田侃氏の彫刻がその教室や体育館、その他敷地内に点在する。安田氏は美瑛に生まれ育ち、イタリアに渡りローマ・アカデミア美術学校に学んだ。大理石の産地として知られるトスカーナのピエトラサンタにアトリエを構え、大理石とブロンズによる彫刻の創作をしていらっしゃる。
『アルテピアッツァ美唄』は昭和世代の私にはなんとも居心地が良く、のんびりと過ごせるところだった。小学校の古い建物は美唄に活気があったころ、つまりは昭和の古き良き時代の記憶を思い起こさせる。と同時に鮮やかな緑と彫刻の白が強烈な印象を観る者に残す場所でもある。なんだか懐かしくて美しい場所で、あたりの静寂が心を癒やしてくれる。
ここでももっとゆっくりしたい気がしたが、夕方には東川町で「東川暮らし体験館」へのチェックインを済ませねばならない。昼過ぎには施設を後にした。
美唄市には国道12号線が走っており、そのうち美唄市を起点とし、奈井江町 - 砂川市 - 滝川市の4自治体を貫く29.2kmは日本で最も長い直線区間である。どうせならこの道を走って旭川へ向かい、大雪山の麓の町・東川町に行くことにした。(つづく)