佐々陽太朗のチャリチャリ日記

人生いたるところに夏休みあり。佐々陽太朗の自転車日記。60歳と6ヶ月で仕事をリタイア。目指すはピンピンコロリ。死ぬまで元気なジイサンでいたい。輪行自転車旅、ポタリング、日々のトレーニングなど。

山陰ツーリング6日目(益田市内ポタリングで北斎に出会う)

2020/11/18

 山陰ツーリング6日目は益田市内をポタリング。まずは日本キリスト教団・益田教会を目指した。私はキリスト教信者ではない。それどころか神も仏も信じていないバチ当たりな人間だ。しかし益田教会の牧師さんと知り合いで、先日、「ロードバイクの旅の途中にでもひょっこり訪れてください。当地はロードレースで有名です」と手紙をいただいたのだ。その方とは「四金会」という読書会で知り合った。益田でも「益田読書会」という会を主催していらっしゃるという。事前に何も連絡せず訪問してみた。それこそ「ひょっこり」訪れてみたかったのだ。

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益田教会

 残念ながら不在であった。手土産の酒「李白」を玄関に置いて石見美術館に向かった。教会までの道すがら「北斎展」をやっているのを見かけたのだ。丁度、開館時間直前である。

 石見美術館は石見芸術劇場との併設で「グラントワ」と呼ばれるすばらしい施設だ。平日の朝とあって、見学者はまばらでそれこそコレクションを独り占めに近いかたちで観ることが出来た。

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 ここで島根県北斎との関係を記しておきたい。北斎といえば葛飾北斎というぐらいで、江戸に生を受け江戸で活躍した画家である。晩年、信州小布施に滞在し画を描いたというのは有名。名古屋、関西を旅した記録もあるようだが、島根県を訪れたことがあるかどうか、私は知らない。なのに島根県北斎の作品を多く所有しているという。この企画展は『北斎_永田コレクション名品展』と銘打っている。この「永田コレクション」とはなんぞや。それは北斎の研究者として世界的に知られる永田生慈氏(1951_2018)のコレクションだという。永田氏は津和野町の出身で、長年に亘り北斎を研究し作品を集められた。永田氏が北斎に興味を持ったのは、小学生の時、たまたま古本屋で見かけた北斎の本『画本早引』がきっかけで、作品を集め始めたのは高校生のころだったとか。その永田氏が故郷の島根県北斎の作品と資料2,000点以上を寄付され、県が所有している。この永田コレクションは松江の「島根県立美術館」とここ「島根県立石見美術館」でしか見られないらしい。しまった。昨日の午後、松江にいる間に「島根県立美術館」にも行けば良かった。

 作品展はいろいろなテーマにチャレンジした20歳~35歳頃、摺物で活躍した36歳~44歳頃、読本の挿絵で大ブレイクした45歳~50歳頃、「北斎漫画」など絵手本を描いた51歳~60歳頃、「富嶽三十六景」を描いた61歳~74歳頃、老いてなお新しい分野にチャレンジし続け、あくまで成長し過去の自分を超えようとした75歳~90歳頃と貴重な資料と作品が展示してあった。北斎が75歳の時、自分の我か人生について記したという次の言葉が印象に残った。

己六才より物の形状を写の癖ありて
半百の此より数々画図を顕すといえども
七十年前画く所は実に取るに足ものなし
七十三才にして稍 禽獣虫魚の骨格 草木の出生を悟し得たり
故に八十六才にしては益々進み
九十才にして猶其奥意を極め
一百歳にして正に神妙ならん与欠
百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん
願くば長寿の君子 予言の妄ならざるを見たまふべし

 残念ながら富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」を観ることは叶わなかった。企画展が前期・後期に分かれており、それは既に開催された前期の展示であったのだ。なにかまわない。昨夜、居酒屋「田吾作」で益田への再訪を期したばかりである。展示に合わせてまた島根県を訪れよう。

 北斎を堪能した後は益田駅近くの「大衆食堂だいこく」であなごの天丼を食べた。日本海産あなごを2本まるまる使ったあなご天丼のうまいのなんの。こういうものが普通の定食屋にあるのが島根のすばらしいところだ。それにしてもこのツインタワー状態のあなご丼。まるで一昨日くにびき海岸道路を走ったときにくにびき海岸大橋で見たモニュメントではないか。

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くにびき海岸大橋のモニュメント

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益田市ポタリングの軌跡。距離は約10km。

 以上で六日間の山陰ツーリングを終え、家に帰った。隠岐の島をはじめ日本海の景色の素晴らしさを堪能した。天気もすばらしく良かった。島根県の人は親切で自転車に優しかった。隠岐の島の「点」「青柳」、松江の「やまいち」「利き酒いっこ」、益田の「田吾作」と良き居酒屋で美酒に酔いしれた。思い出に残るすばらしいツーリングとなった。島根県にはこれから何度も訪問することになるだろう。