佐々陽太朗のチャリチャリ日記

人生いたるところに夏休みあり。佐々陽太朗の自転車日記。60歳と6ヶ月で仕事をリタイア。目指すはピンピンコロリ。死ぬまで元気なジイサンでいたい。輪行自転車旅、ポタリング、日々のトレーニングなど。

法華寺、ヒシアゲ古墳、平城宮跡、近鉄大和西大寺駅前(合掌)、唐招提寺、薬師寺、慈光院、法隆寺サイクリング

2023/07/04

 奈良へ3泊4日の旅に出かけた。もちろん車にロードバイクを積んでの旅である。ひとつき前にも奈良を訪れたのだが、二日三日程度で訪れるべき史跡旧跡をまわりきることなど出来るものではない。それほど奈良は見てまわるべきところが多い地である。訪れたい居酒屋もある。安倍元総理大臣が選挙の応援演説中に銃撃されてお亡くなりになられてもうすぐ一年という節目でもある。そんな思いで梅雨時、しかもクソ暑い中、奈良にやって来た。

 旅行1日目の今日は宿泊する奈良ロイヤルホテルの駐車場で自転車を降ろしスタート。北上して法華寺コナベ古墳、ヒシアゲ古墳、西へ行き平城宮跡、南へ下って唐招提寺薬師寺慈光院法隆寺と巡るコースとした。中宮寺法輪寺法起寺は門前まで行ったが時間が無く参拝はかなわなかった。途中、平城宮跡から近鉄大和西大寺駅前を経由して安倍元総理大臣が兇弾に倒れられたところで掌を合わせた。

 総走行距離約50km、アップダウンは少なく平城宮跡から法隆寺まではサイクリングロードが整備されて走りやすかった。ただ、日差しが強く、しかも蒸し暑かった。

法華寺

 サイクリング最初に訪れたのはロイヤルホテルから北にあがってすぐの法華寺。東の赤門から入った。築地塀の五本線は皇室とのゆかりを表す。本堂と華楽園を見学することが出来たが、国宝の本尊・十一面観音菩薩立像は特別公開の時期でないと拝むことが出来なかった。本堂の中で印象的だったのはこの寺を創建された聖武天皇の后・光明皇后の御影(林屋拓蓊作)の福々しいお姿と聖徳太子童子像の愛くるしい丸顔とぽっちゃりした体型。私もぽっちゃりした体型だが、古来よりやんごとなき人は皆ぽっちゃり体型だったのだと独り勝手に納得。

(赤門)

(本堂)

(浴室・からふろ) 薬草を入れて蒸し風呂にしたのだとか。今でいうサウナですね。

(月光亭) 無料で飲み物が用意してあり、冷たいほうじ茶をいただいて、縁側に腰掛けゆっくりさせていただきました。

(華楽園) 境内の東にある庭園。散策できる小径がもうけてあり、四季折々の木花が楽しめる。今の時期は半夏生、蓮の花、セイヨウニンジンボク、紫君子蘭などが見ごろだった。

コナベ古墳】 どなたの御陵かはわかりませんが、池の周囲に道路がありぐるりと一周して観ることが出来る。美しい御陵です。

【ヒシアゲ古墳】 仁徳天皇皇后の磐之媛命の陵。仁徳天皇陵とずいぶん離れた場所にあるのは、夫である仁徳天皇が他の女性に心を移したことに激怒したことが関係しているのだろうか。磐之媛命の嫉妬深さは先日読んだ『隼別王子の叛乱』(田辺聖子:著/中公文庫)に書かれており興味深いところ。

 拝所に参拝することはせず、東から北へ石畳の道が整備されているので自転車を押して散歩した。

jhon-wells.hatenablog.com

 

 ヒシアゲ古墳からは南西にすこし行くと平城宮跡がある。南に朱雀門、北に大極殿を配し、広大な史跡地が広がる。

【平常宮跡】

 平常宮跡を後にして、次に西へ走り近鉄大和西大寺駅に向かった。昨年の7月8日11時31分頃、安倍元総理大臣が選挙応援演説中に銃弾に倒れられたところである。もうすぐ一周忌を迎える。今日は花も用意していないが、掌を合わさせていただきました。市内の霊園に「留魂碑」と名づけられた慰霊碑が出来たと聞く。明日は「留魂碑」を訪れて花を手向けたいと思う。

 再び平城宮跡に戻ると、そこから南へは唐招提寺薬師寺等を巡る自転車道が整備されている。

唐招提寺】 唐招提寺を訪れるのは初めてである。かの鑑真大和上が開かれた修行の道場が始まりだそうである。天平宝字3年(759)のことだとか。立派な寺に圧倒されたが、一番印象的だったのは寺の一番奥にある鑑真和上御廟の苔です。御廟敷地の門を入ると一面を覆うベルベットのような苔が木立からの木洩れ陽に輝き、ため息が出るほど美しいのだ。これほど美しい苔を私は視たことがない。

(鑑真和上御廟)

唐招提寺敷地内に咲く蓮の花)

 唐招提寺を出ると門前に「西の京みやげ処きとら」があった。ちょうど昼時だったので、冷たいそうめんを食べた。

 午後はさらに南に向かう。唐招提寺から薬師寺まではすぐだ。薬師寺には北から入った。

薬師寺】 薬師寺は色鮮やかで壮麗な寺院でした。ただ火災や地震で創建時のものの多くは失われており、全体として新しい感じで歴史の重みの点で不満が残る。ただ東塔は創建時のものだそうで、新しい西塔との対比がおもしろい。また中門の仁王像が大変カラフルな彩色が施されており、他の寺で黒くくすんだものを見慣れた眼に新鮮な衝撃を受ける。これは見物でした。

玄奘三蔵院伽藍)

(食堂)

(東塔、金堂)

(東塔)

(西塔)

(中門、仁王像)

(大講堂)

 薬師寺からさらに南に下り慈光院をめざす。

慈光院】 慈光院は石州流茶道の祖である片桐貞昌が建立したというだけあって、簡素ななかにも趣がある。茅葺き入母屋造りの書院から庭園を、さらにサツキの大刈込みの向こうに大和平野を借景として一望する景色がすばらしい。ただ、昔は大和平野の田園風景を庭に、そしてさらにその東の山の稜線を垣根に見立てた借景も、今は大阪への通勤が便利な住宅地として開発され、景色が一変してしまっている。とはいえ、東の山の稜線は今も昔も変わらないのだと田園風景を頭の中に思いうかべながら茶をすする。こちらでは到着すると書院に案内され、菓子と茶が供されるのだ。かの火野正平も番組「こころ旅」でここに腰掛け茶を飲んだとか。

 本日の訪問地の最後は法隆寺

法隆寺】 小学校6年生のときに訪れたことがあるはずだが、ほとんど記憶に残っていない。こんなにおおきな寺だったかと改めてびっくりした。

 法隆寺の隣には中宮寺、さらに北に帰る途中に法輪寺法起寺の前を通ったが、時間が無く立ち寄ることはできなかった。ロイヤルホテルへの帰途、5時の鐘が鳴った。あれは薬師寺唐招提寺か、どちらの鐘の音だったのだろう。