佐々陽太朗のチャリチャリ日記

人生いたるところに夏休みあり。佐々陽太朗の自転車日記。60歳と6ヶ月で仕事をリタイア。目指すはピンピンコロリ。死ぬまで元気なジイサンでいたい。輪行自転車旅、ポタリング、日々のトレーニングなど。

チャリンコで東北へ(1日目は京都府舞鶴まで)

2024/03/27

 チャリンコで一人旅に出かけた。行き先は東北である。なぜ東北なのか。別に恋に破れたわけではない。そう言えば些か唐突に聞こえるかもしれないが、人はなぜか恋に破れると北へ旅するものらしい。定説である。しかし齢64のジジイに恋もへったくれもない。目的はただただ春の到来を慶びたい。それだけである。春の到来をいちばん心待ちにしているのはどこか。北国である。なんとなく越中、越後、東北地方といった豪雪地帯は切実に春を待ち望み、春が到来するや、心の底から慶び、はっちゃけていそうな気がするのだ。そして春といえば花。花といえば桜に決まっている。今年1月31日発表の日本気象協会による桜の開花予想は「今年の桜の開花は、3月19日に福岡・高知からスタートする見込みです。20日には熊本や東京などで、21日には広島、名古屋などでも開花し、3月末までに、九州から北陸にかけての広い範囲で開花するでしょう。4月に入ると、桜前線は東北まで北上し、4月2日には仙台で、19日には青森で開花する見込みです。」であった。ちなみに金沢の開花予想は3月27日、新潟は4月2日、秋田4月15日、青森4月19日であった。3月下旬に家を出発し、北陸から東北へと進んでゆけば桜がちらほら咲き始めるのを眺めながらサイクリングできるのではないかと考えたのだ。私もそうそう暇ではない。さすがに秋田、青森の開花を見ることはかなわないが、それでも私の後を追いかけて桜前線が北上してくるだろう。イメージは「花咲かじいさんサイクリング」なのであった。しかし自然は人間の思うとおりにはならないものである。その後、急激な冷え込みもあったからだろう、開花は遅れている。現在の予想では金沢が4月3日、新潟は4月5日、秋田4月10日、青森4月19日といったところのようだ。現に今日現在、私の家のまわりを見てもまったく開花していない。目論見ははずれてしまったが、せっかくたてた旅行計画である。花はなくとも春の兆しを感じることはできるだろう。ちょうど新酒がうまいころ、春を感じる食材もでてくるはずだ。家から京都、福井、石川、新潟、山形、秋田、青森へと北へ北へペダルを踏んで行けるところまで行くつもりだ。4月の8日には帰宅せねばならず、どこまで行けるか分からないが、目標は津軽海峡をこの目で見る。しかし無理はしない。旅は楽しみたい。苦しいのはいやだ。かなわなければあっさり鉄道で引き返し、来年以降また捲土重来を期するついもりである。

 今回の旅に携える本は2冊。まず『人はなぜ恋に破れて北へいくのか ナマコのからえばり』 (椎名誠:著/集英社文庫) 。旅によく携行させていただくシーナさんのエッセイである。本棚の積読本からタイトルで選んだ。人が北へ向かう心情を深く、否、軽薄に分析してみたい。もう一冊は『天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線』(野瀬泰申:著/新潮文庫)である。食べものの食べ方にどのような地域性があるかについて書かれた本である。その代表的なものが「天ぷらにソースをかけて食べるかどうか?」問題だ。調べてみると東日本側と西日本側で食文化の傾向に明確な差があり、その境界線は糸魚川ー静岡構造線(フォッサマグナの西端)とほぼ一致するという。天ぷらにソースをかけるのは、その西日本側に多い傾向がハッキリしているらしいのだ。今回の旅で新潟糸魚川を通過する。果たして糸魚川を境に食文化の差を見ることができるかどうか、楽しみである。そしてソースといえば福井県の県民食として「ソースカツ丼」なるものがあるらしい。「薄くスライスされた豚肉をきめ細かいパン粉でカラッと揚げ、熱々のうちにソースに絡めたカツをご飯にのせた料理」のようである。これもまたソース文化の表れとも言えるだろう。トンカツを食べるときソースをかけるのは一般的だろう。しかしカツ丼となるとやはり玉ねぎやネギと合わせた卵とじのものを想像するし、それは天丼と並んで丼物の双璧をなすのではないか。それをシンプルにソースのみを絡めて載せるという福井県民推しの「ソースカツ丼」がどれほどのものか興味津々といったところ。老舗洋食店「ヨーロッパ軒」が発祥らしいので、できれば訪問して実食したい。

 

 1日目に走ったコースは下の地図のとおり。自宅から北東へ(地図では斜め右うえに)走って舞鶴に抜ける。走行距離は約115kmであった。総上昇量は819mと厳しい上りではないが、いくつかの峠を越えて日本海に到達する道程である。
 朝6:20に家を出発して、昼食を丹波市市島町蕎麦屋『そばんち』で食べ、東舞鶴の居酒屋『炭火居酒屋 弾正』に到着したのが16:00の開店前。約9時間40分かかった勘定である。ホテルへのチェックインを後回しにして、開店早々店に入った。猛烈に腹が減っていたし、アルコールにも飢えていたのだ。

6:20 自宅を出発。

7:30 市川町『天然かさがた温泉せせらぎの湯』トイレ休憩。桃の木の花は咲いていた。

9:05 多可町大池桜新道。桜のつぼみはまだまだ硬し。

11:00 市島町『そばんち』で昼食。注文したのは「Cランチ」(1,500円)。二八の盛り蕎麦に鴨蕎麦雑炊がついたセット。二八蕎麦は美しく腰がしっかりしたもので食べ応えあり。雑炊は優しい味だが、ハバネロ泡盛で漬けたものをかけるとピリッとしてまたうまい。

12:10 京都府に入る。

13:50 綾部市『景徳山安国寺』に立ち寄る。足利尊氏生誕の地らしい。茅葺きの風情ある寺でした。茅葺き修復のために一口だけ寄付させていただきました。

14:25 舞鶴市に入る。

16:00 東舞鶴の市街中心部に到着。猛烈に腹が減り、喉も渇いていたので、とりあえず開店直後の『炭火居酒屋 弾正』で酒を飲む。酒は大将のおすすめで「謙信 純米吟醸」「紀土 純米大吟醸」「會津龍が沢 純米大吟醸」をやる。すべて500円。肴は「鯵のたたき」600円。「地魚で作った南蛮漬け」550円。「弾正シューマイ」4個 500円。「焼きおにぎり」2個 500円。