佐々陽太朗のチャリチャリ日記

人生いたるところに夏休みあり。佐々陽太朗の自転車日記。60歳と6ヶ月で仕事をリタイア。目指すはピンピンコロリ。死ぬまで元気なジイサンでいたい。輪行自転車旅、ポタリング、日々のトレーニングなど。

チャリンコで東北へ(5日目は金沢から富山へ)

2024/03/31

 チャリンコで東北へ向かう旅、5日目は金沢から富山まで走った。

 金沢から直接富山へ向かわず、幾分回り路をして雨晴海岸を経由した。今日の天気、気温だとなかなか難しいかもしれないが、富山湾越しに立山連峰の雄姿を見ることができるかもしれないと期待してのこと。4年前に雨晴海岸から氷見までサイクリングしたことがあるのだが、あのとき見た絶景をもう一度見たい。あのとき観た景色がこれです。

jhon-wells.hatenablog.com

 今日走ったルートは下の地図のとおり。高度グラフのとおり今日も平坦な道程をゆっくり走った。ゆっくり走って走行距離約82km。総上昇量306mであった。

7:10 金沢駅

 金沢の朝はミステリー♬  駅に程近い『ミステリーカフェ 謎屋珈琲店 金沢本店』で朝食。このカフェにはミステリーにちなんだメニューがたくさんある。たとえばブレンドコーヒーだと「エラリー・クイーン'S アメリカンブレンド」「エルキュール・ポアロ'S マイルドブレンド」「フィリップ・マーロウ’S ストロングブレンド」といった具合。オリジナルフードにはクイズが付いており、20問全てに正解すると公式名探偵に認定され「名探偵証明証」が進呈されるという。オリジナルフードは「ミス・マープルのメープルワッフル」「緋色の研究」「黒猫の三角」「マリオネットの罠」「Xの悲劇」「Yの悲劇」などミステリーファンにはたまらないネーミングだ。私がいちばんうれしいのは「島村圭介のホットドッグ」だ。私の大好きな藤原伊織氏の小説『テロリストのパラソル』の一場面に出てきたホットドッグを再現している。このホットドッグは私も小説を真似て作ってみたことがある。

 さて今朝食べたのは「シャーロックホームズの朝食セット」。コーヒーにサラダ、それにウインナー、ハム、ハムエッグを載せたトーストというメニュー。ハムエッグ・トーストにはチーズが入っている甘みのあるソースがかかっておりなかなかうまい。

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 空腹を満たしたあとは雨晴海岸をめざす。道は平坦なのでのんびりゆっくり行くつもりだ。ただ気は抜けない。道路には裂け目がけっこうあり、特にロードバイクのようにタイヤが細いとその裂け目にタイヤがはまり込みハンドルが効かず転倒するおそれがある。特に冬に道路が凍結するような北国に多い気がするので要注意だ。実際に私は4年前に能登島を走ったとき、次の交差点で二股の道の左右どちらに行くべきかをGoogleマップで確認しているうちに溝にはまり込んでしまって転倒したことがある。幸い大けがにはならなかったが、膝に大きな傷を負った。翌日になって、石川県の道路を管理しているのであろう部署へ場所と写真をメールでお知らせしたのだが、その後なしのつぶてだった。すぐに修復してくれるとまでは期待しないが、せめて嘘でも「善処します」ぐらいの返事は欲しかった。今回はグラベルロードに乗っておりタイヤが幾分太いので少しは安心だが、その太めのタイヤでもはまり込みそうな溝がたまにある。下の写真のような状態だ。

9:35 富山県に入る。

10:00 「道の駅 メルヘンおやべ」でトイレ休憩。なぜメルヘンなのか。そういえば小矢部市にはメルヘンチックというか、洋風というか周りにそぐわない建物がチラホラあるように思う。それを素敵だと見る人もあるだろうが、私の目には醜悪と映ってしまう。だって町全体は山も木も家々も普通に和風だもの。和装の人がフェラガモの靴を履いてもなぁ。メルヘンという言葉からイメージするのは子ども、あるいはティーンエイジャーの夢みる乙女。しかし「道の駅 メルヘンおやべ」には子どもも若者も一人もいなかった。私を含め年寄りばかりである。いや小矢部市ディスる意図はない。ただ、だったらなぜメルヘンなのかと思っただけだ。

 いつものようにここでも甘いものを摂取。桜道明寺やら苺大福やら豆大福やらが並んでいた中で「草もち」を選んだ。お茶は黒豆茶。私は口に入れるものまで爺むさい。ここで初めてお目にかかったのだが「昆布もち」なるものがブレークしかけているようである。店の人に「これ甘いの?」と訊ねてみたが、うすい塩味だとか。試してみたい気もあったが、疲れているときは甘いものの方が良いのでやめた。

 国道8号線を避けて、Googleマップをたよりに脇道を走る。未舗装の悪路もあるが、車にあおられないのがうれしい。小矢部川土手沿いの道は車が入らず、揚げ雲雀なのりいで、牧歌的なサイクリング。すべて世は事も無し。

11:50 雨晴海岸に出る。眼前に拡がる富山湾。天気はそう悪くないのだが、その先に立山連峰は見えない。残念。男岩を眺めているとちょうどJR氷見線の列車が通りがかった。慌ててカメラを出して撮影。欲張って自転車も入れて撮ろうとして構図が変になった。撮り鉄坊やも映り込んでしまった。

 小矢部川河口を渡る「伏木万葉大橋」には大伴家持の歌碑が4首刻まれていた。家持は越中に国守として赴任していたのだとか。「立山に降り置ける雪」を見たかったなぁ。まさしく私も4年前、富山湾越しに立山連峰を見たとき、立山は神の山にちがいないと思った。

13:00 射水市西新湊「ひさみなと食堂」に立ち寄る。炭水化物過剰のラーメンとチャーハンのセットをいただく。世の人は一週間あるいは十日自転車旅に出ると激ヤセして帰ってくるのではと思うらしいが逆だ。私は却って肥ってしまう。原因はこれだ。

14:45 神通川を渡り、富山駅周辺に到着。

 18時過ぎに居酒屋を求めて町に出た。しかしお気に入りの居酒屋も行きたいと思っていた居酒屋も全て閉まっている。今日は日曜日。富山の居酒屋は休んでいることが多い。仕方なく駅隣接施設で済まそうとしたが、駅周辺は観光客がひしめいていた。閉まっている店が多いための夕食難民である。良さげな店は行列待ちだ。信号待ちに中学生くらいの子どもを二人連れた夫婦と隣り合わせたが、なんとなくお父さんが責められている。日曜日に店が閉まっているのも、観光客でごった返しているのもお父さんのせいではない。しかしそれでもお父さんは辛抱して善後策を練っている様子。大変だなぁ。日々の仕事に疲れ、たまの休みの家族サービスだろうに。「神よ。このお父さんにこの春大幅賃上げを!!」と心の中で3回祈った。

19:00 さんざん探し回った後、行き当たったのがここ。「地魚屋 BISTRO la baie」である。一時間近く、店を求めて歩き回ったことになる。ただ飲むだけなら入れそうな店はたくさんあったが、どうせならおいしい料理が食べたい、レモンサワーなんぞではなくうまい酒が飲みたい。その一心の執念である。

 落ち着きのある佇まい。「地魚屋」というのも期待させる。ビストロを名乗るからにはフランス料理。日本酒は期待できないだろうがワインも嫌いではない。問題なかろうとドアを開け訪いをいれた。

 店内は落ち着き、静かに音楽が流れている。カウンターの端に陣取った。カウンター奥に日本酒のメニューが見つかった。良し!! さっそくご当地の酒「林」を注文した。立山連峰の水で醸した日本海の酒だ。お通しに燻製にしたホタルイカがでてきた。これまた良し。つまみに一品「生ハム」を注文した。

 酒に合うからと岩塩を出してくれた。ヒマラヤのものだそうで、粒をカリッと砕くとなんとなくゆで卵を思いうかべる香りがした。なんだろうと考えて、硫黄の匂いではないかと思い当たった。おそらくミネラル分がたっぷりなのだろう。なるほどこれで酒がいける。

 続いて「千代鶴」。

「黒ムツのポワレ

根知男山 純米」 新潟県糸魚川市の酒。明日、糸魚川に行く。

「黒牛 純米」 なぜか和歌山の酒を置いている。和歌山の酒と言えば最近は「紀土」を置いている店が多いが「黒牛」を置いているとはなかなか目が高い店とみた。料理が生きる酒だと思う。

 〆のパスタは「富山ブラック風牡蠣のパスタ」。店主にお任せで作ってもらった。富山ブラックらしく塩味が強めで酒がすすむパスタだ。おそらく私が自転車で富山まで来たと話したので、こういう味付けにしてくれたのだろう。

 いやはやたまたま行き当たった店だったが良い縁だった。再訪したい店がまたひとつ増えた。